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附設栄養研究所
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治療食のポイント
◎エネルギーコントロール食
エネルギーコントロール食は1日に摂取する総エネルギ―量を調節した食事です。エネルギーの制限だけでなく、蛋白質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルの各栄養素をバランスよく摂取する必要があります。
病人食において一般治療食では男性で1,600〜2,400kcal、女性で1,300〜2,000kcal程度が適用されます。また、各疾患により、1日当り400kcal〜2,400kcalのエネルギーコントロール食が適応されることもあります。各栄養素は、第六次改定日本人の栄養所要量に準じて設定します。
エネルギーコントロール食はエネルギーコントロールを中心にして、疾患に応じてバランスの取れた内容になります。この食事が適応される疾患は栄養状態に特別な問題もなく、特別な栄養素の調整を必要としない健康維持と生活習慣病の一次予防、治療の補助手段とした疾患や妊婦、授乳婦、肥満、高コレステロール、高中性脂肪、低HDLなどを示す異常脂血症、脂肪肝、糖尿病、急性、慢性肝炎、代償性肝硬変、高尿酸血症、痛風、甲状腺機能低下症等です。
このエネルギーコントロール食にナトリウム制限を付加することにより、高血圧や心臓病、妊娠中毒症にも適応できます。異常脂血症の場合はタイプによっては、コレステロール摂取量を1日当り300mg以下に制限を加えることもあります。
◎たんぱく質コントロール食
たんぱく質コントロール食とは1日のたんぱく質摂取量を調節した食事です。たんぱく質の摂取量は、殆ど含まない無たんぱく食から、標準体重1kg当り0.3〜0.8g(1日当り20〜50g)の低たんぱく食、体重1kg当り1.2g〜1.5g(1日当り80〜100g程度)の高たんぱく食に大別されます。エネルギー摂取量は性、年齢、生活活動強度、疾患等に応じた適正量になります。
低たんぱく食では、たんぱく質を減らした分の不足するエネルギー量を脂質と炭水化物で調整します。無たんぱくや低たんぱく食の場合は身体にとって十分なエネルギ―量が供給されていないと体たんぱくの崩壊や肝臓でアミノ酸からブドウ糖を作り出す糖新生が促進され、たんぱく質制限の効果が現れず、血液尿素窒素等の窒素化合物が増えることになるからです。
たんぱく質の利用効率を高めるためアミノ酸価の高い食品を供給すると同時に、脂質と炭水化物でエネルギーを十分に補給することが重要です。たんぱく質は量の制限と共に、アミノ酸インバランスがみられた場合はフィッシャー比(分岐鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸モル比)を高めるための質的考慮も必要となります。
低たんぱく食が適用される疾患は、たんぱく質不耐や高アンモニア血症のみられる肝不全や非代償性肝硬変などです。蛋白尿や乏尿、尿毒症、高窒素血症をきたす急性糸球体腎炎、慢性糸球体腎炎、急性腎不全、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、糖尿病腎症や血液透析、持続携帯式腹膜透析(CAPD)食等にも病状に応じて適用され、これらの場合はナトリウム、カリウム、リン、水などの調整が必要になります。
高たんぱく食は低アルブミン血症、貧血など、栄養状態の低下に対して積極的な栄養補給を必要とする場合にも適用されます。
◎脂質コントロール食
脂質コントロール食とは、1日当りの脂質摂取量と脂肪酸組成を調節した食事です。1日当り、殆ど脂質を含まない食事から、1日当り5〜20gや1日当り20〜30gの低脂質(脂質制限食)と脂質エネルギー比を20〜25%のバランスのとれた範囲で飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の脂肪酸の割合を調整した食事に大別されます。
脂質制限食は膵炎や胆石症、胆嚢炎等の急性増悪期の症状が消失し、一定期間の絶食後に食事が開始になることが多く、流動食の形態が利用されます。回復に従って三分粥、五分粥、全粥食というように段階的に上げ、エネルギーも炭水化物を中心とし、たんぱく質、脂質を少しずつ増やして上げていきます。たんぱく質の多い食品の選択は脂質含有量に注意します。
高脂血症に適用される脂肪酸組成を調節した食事では、多価不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸の比を適正に保つと同時に摂取エネルギーを制限します。血清コレステロールが高い場合は、食事中のコレステロールを1日当り300mg以下にします。
◎流動食、軟食、易消化食
一般に流動食と呼ばれる場合は、濃厚流動食や経管用の流動食と分けて考えられています。これは通常、固形物を除いた重湯、ジュース、牛乳、味噌スープなど咀嚼しなくても摂取でき、消化吸収がよく、刺激の少ない液体タイプのものを指しますがプディングやゼリー、アイスクリームなどのように、半固形物でも口腔内で溶けるものも利用可能です。栄養的には炭水化物が中心となります。
流動食が長期におよぶ場合は牛乳や脱脂粉乳に低甘味性糖質や中鎖脂肪の粉末を用いた濃厚流動食や1ml当り1kcal以上に調整した経腸栄養剤を利用して、エネルギーをはじめ、積極的な栄養素の補給に努めます。
軟食とは主食内容により、おまじり、三分粥、五分粥食、七分粥食、全粥食、軟飯食に分類され、その副食はそれぞれの段階に応じた消化器系に物理的に刺激が少なく、消化のよい食事を指します。形態と栄養価において、常食に移行する前段階の食事の総称です。
易消化食は消化のよい食事を指しているので、上記で説明した流動食や軟食も易消化食として取り扱われますが、ここでは軟食と区別するため、食物繊維や固い食品等、物理的な刺激・化学的および温熱的な刺激などが少ない食品、調理法を用い、胃内の停滞時間が短く、さらに消化しやすいよう配慮した食事を指します。
流動食は歯、口腔の障害による固形物の摂取が不可能な場合や高熱や病状が重く食思不振時、各疾患の病状悪化や手術による絶食の後、食事が再開される時などに適用されます。
軟食は高齢者や術後、歯、口腔の障害による咀嚼障害、発熱による食思不振、下痢等に適用されます。
易消化食は急性・慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、過敏性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病等が適用になります。潰瘍性大腸炎、クローン病の炎症性腸疾患の場合は、さらに消化しやすいよう配慮し、食品や調理に用いる脂質の量や脂肪酸組成にも配慮が必要です。
胃・十二指腸の術後は、2/3切除・全摘による胃容積の減少だけではなく、胃液の分泌も減少します。術後は腸の蠕動、排ガスを確認後、食事開始になります。絶食直後の固形食は腸粘膜の剥離や下痢の原因になるので少量で消化吸収のよい適度に胃液を分泌させる流動食、軟食を用い、1日6回程度に分割した頻回食とします。
◎摂食・嚥下障害食
摂食・嚥下障害食とは人間の基本的行為としての食物を摂取する行動が器質的、機能的、心理的原因により、摂食・嚥下機能が不十分な場合に食塊形成や飲み込みを容易にするため、弾力性、密度、粘度、可塑性などの調理形態を調節した食事のことです。
摂食・嚥下障害があると食べられない、食べにくいと言った、食べる楽しみの障害、摂取量不足による低栄養・脱水、誤嚥および誤嚥による窒息等大きく分けて3つの問題が生じます。この食事は長期に亘って用いられるため、この問題点を可能な限り解決し、調理形態を中心に、性、年齢、生活活動強度、疾患等に応じた適正エネルギーでバランスのとれた栄養素の供給にも十分な配慮が必要となります。